子どもの可能性

みなさん、こんにちは。地域おこし協力隊(芸術文化活動コーディネーター)ヴァイオリニストの片山さやかです。今回は、日頃行っているレッスンの中で感じたことを少しお話ししたいと思います。

私はヴァイオリンのレッスンを通して、これまでに100名ほどの子ども達と関わってきました。ヴァイオリンを始めるきっかけはそれぞれですが、大きく分けて2パターンです。

  • 自分からヴァイオリンの魅力に気づき、弾いてみたい!と思った子。
  • 親御さんが、子どもにヴァイオリンを弾かせたい!と思って習い始めた子。

自分からヴァイオリンを弾きたい!と思って習い始めた子と、親御さんの希望で習い始めた子では、やはり上達の進捗度や継続力に大きな差があります。
自発的にヴァイオリンを弾きたいと思って始めた生徒さんは私の元から離れても、その先で音大生になったり、大人になって働くようになっても趣味でヴァイオリンを続けて楽しんでいる方が多い印象です。

親御さんの希望で習い始めた場合は、なかなか興味が沸くまでに時間がかかったり、逆に興味が薄れてしまうのが早かったりします。
ただ、親御さんの希望きっかけで習い始めることが悪いことなわけではなく、興味を持つものを見つけるきっかけをつくるのは大人の役目でもあると思うので、せっかくの機会を無駄にさせたくないなと思い、指導者はレッスン内容の試行錯誤を繰り返します。

親御さん発信でヴァイオリンを始めた私の生徒さんで、ヴァイオリンへの興味が薄れてしまった男の子がいます。
ヴァイオリンは持ち方も難しいし、すぐに思うように弾けないことで気持ちが薄れてしまったように思います。

習いに来てくれている以上ヴァイオリンに触れてもらいたいし、ヴァイオリンが上達しないとレッスンに来てる意味がなくなってしまうのでは?と悩む中、生徒さんに怒ってしまうこともありました。

一昔前の習い事のイメージ(特に楽器系)は、親に怒られるから練習をする、先生に怒られるから続けている。そんな印象があります。
もちろん、上手になりたいならそれなりの努力が必要なことは当たり前なので「厳しさ」は必要ですが「怒る」のは違うのかなと思います。
本当にダメなことや危ないこと、人として失礼なことをした時には怒るけど、この子が本当に悪いことをしたのか?ただ単に私の教え方やレッスンのやり方が悪いだけではないのか?と思うと、正しい怒り方が分からなくなってしまいます。

ヴァイオリンへの興味が薄れたとしても、音楽が好きなことは変わらないで欲しいし、その中にある可能性を見つけたい。それならこの教室の環境でできること、その子が興味を持つことをやろうと思い、結果的に今は「音楽を楽しめる時間」として特別な形のレッスンをしています。

この男の子は「音楽」がすごく好きです。教室にある電子ピアノを楽しそうに弾いています。耳が良く、日常にある様々な音色を想像することができます。リズムを刻んでメロディを作ります。
私がヴァイオリンを弾くと、その音に合わせてセッションすることを楽しみます。
ヴァイオリンを持って、弦をはじいてリズムを刻んでオリジナルの「音楽」を楽しみます。

そして、レッスンの最後には必ず「まだ帰らない!」と言って帰るのを渋っています。

音楽に夢中になるその姿を見ながら、あらゆる可能性をもった彼が今後何者になるのか、楽しみに思います。

音更町地域おこし協力隊(芸術文化活動コーディネーター)
ヴァイオリニスト 片山さやか

筆者の紹介

音更町地域おこし協力隊員(芸術文化活動コーディネーター)
ヴァイオリニスト 片山 さやかさん

網走市出身。
沖縄県立芸術大学卒業。室内楽定期演奏会、卒業演奏会に出演。北見新人演奏会に出演。
ヴァイオリンを三島美千子、木野雅之、富岡雅美、岡田光樹の各氏に師事。
オホーツクジュニア弦楽合奏団アルモニアヴィオ―レ支援者やアンサンブルユニット『街角クラシック』として道東を中心に音楽活動を行った後に、都内でアマチュアオーケストラのトレーナーや音楽教室の講師、演奏家として活動。
その後、2022年7月より音更町の芸術文化活動コーディネーターとして地域おこし協力隊員に着任。音楽教室oto主宰。

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