うまれたよ ぼく
赤ちゃんが生まれて、初めてわが子の泣き声を聴いた時のこと、きっと覚えているのでしょうね。目と目があって、にこっと笑いあえた時の、なんとも言えない満たされた気持ち、可愛くてたまらなくなりましたね。そして、それから・・・毎日毎日の育児と家事。成長していく我が子に愛おしさを感じながらも、疲れや慌ししさ、思うように進まないいろんなこと。可愛くて愛おしくて、この子の親になれたことが幸せだったはずなのに・・・。そんな気持ちになることがありますね。そんな時もあります。それでも我が子は、お母さんお父さんが大好きで、いつもの瞳の中に映っていますよ。
頑張りすぎないでくださいね。ほら、大切な我が子は、ありのままを美しい、すてき、と感じることのできる、そこに居るだけで嬉しい「ひと」なのです。
『 うまれたよ ぼく 』 作 谷川俊太郎
うまれたよ ぼく
やっとここにやってきた
まだ眼は開いてないけど
まだ耳も聞こえないけど
ぼくは知っている
ここが
どんなにすばらしいところか
だから邪魔しないでください
ぼくが笑うのを
ぼくが泣くのを
ぼくが誰かを好きになるのを
ぼくが幸せになるのを
やっとここにやってきた
まだ眼は開いてないけど
まだ耳も聞こえないけど
ぼくは知っている
ここが
どんなにすばらしいところか
だから邪魔しないでください
ぼくが笑うのを
ぼくが泣くのを
ぼくが誰かを好きになるのを
ぼくが幸せになるのを
いつかぼくが
ここから
出て行くときのために
いまからぼくは遺言する
山はいつまでも
高くそびえていてほしい
海はいつまでも
深くたたえていてほしい
空はいつまでも
青く澄んでいてほしい
そして人は
ここにやってきた日のことを
忘れずにいてほしい。
ここから
出て行くときのために
いまからぼくは遺言する
山はいつまでも
高くそびえていてほしい
海はいつまでも
深くたたえていてほしい
空はいつまでも
青く澄んでいてほしい
そして人は
ここにやってきた日のことを
忘れずにいてほしい。
産んでくれてありがとう。大地に立ち、自分の速さで、自分の道を歩み、自分の鼻を咲かせるよ。
by子育て支援センター「すずらん」